昔ながらの農漁村や山村では、今でも非水洗の汲み取り便器が残っているお宅もあります。
汲み取り式便器は和式便器で、高齢者には腰への負担などが大きいものです。また汲み取り式便器は、臭気対策からトイレ空間が外に開放した造りになっている場合も多いため、冬場のヒートショックの危険もあります。
そのため、バリアフリーリフォーム補助金を出して、高齢者に優しいトイレへの改修を後押しする自治体も多数ありまます。
もし、ご自宅のトイレが汲み取り式でしたら、一度リフォームを検討されてみてはいかがでしょうか。リフォームをご検討されるにあたっての各種情報をまとめました。
汲み取り式トイレと水洗トイレって何が違うの？
今は目にすることが少なくなった汲み取り式トイレですが、下水道や浄化槽といった排水処理システムが完備されていない地方の旧家には残っているところもあります。
かつては、すべてのトイレが汲み取り式で、汚物を便器下の溜め槽に溜めておいて、バキュムカーで定期的に抜き取っていました。
便器の下部は溜め槽に開放しているため、トイレ内への臭気や不快害虫の戻りといった衛生面での課題がありました。
その後、都市の近代化に伴って、汚物を水で流し、下水道で集めて浄化処理する下水道システムが順次整備され、今では水洗式のトイレが当たり前の世の中になってきました。
下水道は、家と家、さらに下水処理場を排水配管のネットワークで結ぶ集中処理システムなので、家と家の距離が近い都市部には最適の仕組みです。
家が離れて建つ農村などでは、集中処理型の下水道システムは使えないため、住宅一軒単位で汚水処理を行う浄化槽が開発され、水洗式トイレが使えるようになっています。
汲み取り式から水洗トイレにリフォームする方法は2種類！
汲み取り式トイレは、水洗化に至る前の世代のトイレです。そのため、水洗トイレに改修するには、汚水の処理も併せて考える必要があります。
汲み取り式トイレを水洗化する工事の概要を解説します。
完全な水洗化
水洗化には、2つのケースがあります。
・ご自宅に浄化槽を埋めて、自宅から出る排水をすべて浄化槽で浄化処理できるようにした場合
下水道が来た場合は、敷地内で下水道に繋ぎ込む排水管工事を行うと、トイレを水洗式にリフォームできます。
浄化槽を設置する場合も同様です。この場合は、最新式の水洗式便器を設置して、衛生的できれいなトイレ空間をつくることができます。
簡易水洗
汲み取り式と水洗式の中間の簡易式の水洗化という方法もあります。これは、汚物は溜め槽に溜めて、定期的にバキュームカーで引き抜く必要がありますが、トイレ内は洗浄水の量を大幅に少なくした簡易水洗便器を設置して、水洗式トイレに近い使い勝手を実現する方法です。
人里離れたペンションなどで見かけるトイレで、排水部分は常に弁（フラッパ―弁）で閉じられており、用を足した時だけ弁が開いて汚物が溜め槽に送られる方式です。
この方式で水洗式のように豊富に水を流すと、溜め槽がすぐ満杯となるため、一回の用足しに使う水の量を500ml程度に絞っています。
これは、水洗式トイレの1/10程度の少なさのため、便器や配管に若干汚物が残りやすく、臭気が発生しやすい環境となるのは仕方ありません。
この方法でも、洋式のトイレに交換して温水洗浄便座も付けられるため、高齢者が居られるご家庭のバリアフリー化には対応できます。
汲み取り式から水洗トイレにリフォームする時にかかる費用の相場
汲み取り式から水洗式へのリフォームは、浄化槽埋設などの土木工事も必要となるため、トイレ空間内だけをリフォームする場合より工事費が嵩みます。費用の目安を紹介します。
完全水洗化の場合
浄化槽を設置する場合で、工事の概要と費用の目安を示します。汲み取り式トイレは、男性の小用にも対応するため、段差を設けて便器が設置されている場合がほとんどです。
室内では、水洗化で洋式便器に替える場合は段差は不要なので
・段差の撤去
・壁床の更新工事
・配管工事
を行って、新しい便器を取り付けます。
屋外では
・溜め槽の撤去と浄化槽を新たに埋める土木工事
・家庭の全排水を浄化槽に繋ぎ込む排水配管工事
が必要となります。
費用の目安は一式で100万円前後です。
簡易水洗の場合
簡易水洗も場合も、浄化槽の場合と同様に
・簡易水洗用の溜め槽を埋設する
必要があります。この方式では、配管工事は溜め槽と簡易水洗便器を結ぶ配管のみとなります。
室内工事は、浄化槽の場合と同様です。
費用の目安は30～50万円ほどです。
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気になる汲み取り式から水洗トイレリフォームする工程や工事日数
費用の目安が分かったところで、工事に要する期間を解説します。
どんな流れで工事が行われるの？
工事の流れに沿って説明します。
①汲み取り便器の撤去とトイレ室内の整備
汲み取り式便器は、段差を設けて設置されていることが多いため、洋式に改修するには段差をなくしフラットにする必要があります。
そのため、汲み取り式の和便器を外したら、床板をフラットに張り替えて、浄化槽に繋ぎ込むための排水配管を新たな床面から屋外に通します。
水洗にするための水道工事や温水洗浄便座を取り付けるための電源コンセント工事も行います。
②浄化槽の設置と配管工事
室内工事と併せて、溜め槽を撤去し浄化槽を埋設する土木工事を行います。
おおよそ車の駐車スペースほどの場所に2mほどの穴を掘り、基礎工事をして浄化槽を設置します。
その後、住宅から出る排水配管の繋ぎ込み工事と、浄化槽で浄化した排水を河川等に放流する配管工事を行って、浄化槽を埋め戻します。
③水洗便器設置と内装工事
水洗便器を取り付け、給排水配管を接続します。その後、壁床の内装工事を行い、通水確認を経て水洗化工事は完了です。
工事期間はどれくらいかかるの？
上述の一連の工事で、5日から1週間の工事期間が目安です。
高齢の方が居られてのトイレリフォームでは、高齢者が使いやすいように
・段差なくす
・手すりを付ける
・車いすに対応できるようドアの開口を大きくする
などのオプション工事も必要とあります。
水洗化リフォームとは別に、バリアフリー工事を行うと高額となるので、水洗化リフォームと常時に行うのがお得です。
水洗化リフォーム時に行うと、手すり設置や開口の大きな折れ戸設置は、それぞれ数万円のアップで対応できます。
汲み取り式から水洗トイレリフォームをする前にやっておきたいポイント
水洗化リフォームで浄化槽を設置にするには、浄化槽から出る浄化済みの排水が河川等に流せるか、自治体に確認するなどいくつかの手続きが必要になります。
リフォーム前に確認する必要がある事項を解説します。
これらの確認事項は、プロの判断が必要なため、地域のリフォーム業者に相談して確認してもらいましょう。リフォーム会社は、サービスで調査確認してくれることがほとんどです。
リフォームが出来る環境なのか調べておく（家の構造や地域の環境など）
浄化槽排水の放流可否
ご自宅周辺の河川が農業用水となっている場合は、関連農業者の同意等が必要になる場合があります。リフォーム業者は、地域の事情を理解しているので相談してみましょう。
浄化槽設置場所確認
浄化槽は、おおよそ駐車スペースほどの場所を掘削して埋設する必要があります。
そのため、通常は小型の重機を用いて穴を掘ります。重機が入れられない場合は、人力で穴を掘ることとなり、費用と工事期間が嵩みます。これもリフォーム業者に下見して確認してもらいましょう。
トイレ室内確認
トイレ室の大きさによっては、部屋のスペースから見直す必要が出る場合もあります。プロの目での事前チェックが必要となります。
自治体によっては補助金が出るところも
今は自治体の多くが住宅のバリアフリー化に補助金を出して、高齢者にも住みやすい家づくりを推奨しています。
また、介護認定を受けておられる高齢者が居られると、介護改修補助金が使える場合もあります。補助金が受けられると、お得にリフォームできます。
補助金は自治体によって異なりますが、数十万円程度補助される場合もあります。
補助金の有無や申請方法に関しても、地域のリフォーム業者が熟知しています。下見などの折に相談してみましょう。
業者選びがとても重要なので複数の会社から見積もりを取ろう（リノコがおすすめ）
水洗化リフォームは、おおむね100万円程度と高額のリフォームになります。
適正にリフォーム工事を行うには、複数のリフォーム業者に相談して相見積もりを取り、地域のリフォーム費用の相場を知ることが重要です。
ぜひ、複数の業者から相見積もりを取って、工事内容と金額のバランスを比較検討してください。
インターネットを利用して、お住まいの地域のリフォーム相場を簡単に調べる方法もあります。
そのひとつがリノコ（https://www.renoco.jp/）です。具体的にリフォーム検討を始めるための予備情報収集にリノコは役に立ちます。見積り費用も掛からず、安心して下調べができます。
予算をあらかじめ決めておく
リフォームでは、選ぶ機器やリフォーム範囲で価格が大きく変化します。業者によっては、売上げを拡大するため、必要以上に上位機種を進めたりする場合もあります。
インターネット等を利用して事前に相場を下調べし、予算の目安を設定してリフォーム業者と相談すると、予算の範囲内でリフォームプランを組むことが出来ます。
種々の情報をうまく活用して、賢くリフォームを進めてください。
まとめ
汲み取り便器の水洗化は、高齢者対応や住まいの衛生環境の確保の観点からもぜひリフォーム検討をしていただきたいテーマです。
リフォームをしやすくするための助成金の仕組みも多くの自治体で整備されています。
インターネットを活用してお住まいの地域のリフォーム費用の相場を掴み、その上でリフォーム業者に相談するなど、賢いリフォームをぜひ進めてください。
