家庭で使われる加熱用の調理器具にコンロがあります。コンロは、ガスを熱源とするガスコンロと、IH、ハロゲン、ラジエントヒーターなどの電気を熱源とするコンロに区別されます。
また、設置の形態でビルトインコンロ、テーブルコンロ(据え置きコンロ)に区別されます。
ここでは、ガスを熱源としたビルトインコンロについて、商品の選び方から交換工事のポイントまでを解説して行きます。
ビルトインコンロとは?
ガスコンロは、キッチンへの設置の形態で区別され、「ビルトインコンロ」、「ガステーブル(据え置きコンロ)」と「カセットコンロ」の3種類があります。
ビルトインコンロは、システムキッチンのユニットに組み込まれ、キッチンと一体となったコンロを指します。
ガステーブルは、キッチンの天板(調理作業する場所)から一段低くなった、ガス台に上置きするタイプの調理器具で、ガスホースが露出しています。
カセットコンロは、家族で鍋を囲む時などに使う可動式の調理器具です。
以下に、ビルトインコンロの特徴を、ガステーブルコンロと比較しながら紹介して行きます。
ビルトインコンロの特長
ビルトインコンロの魅力は、掃除のしやすさとキッチンユニット(システムキッチン)周りの見た目の美しさです。
ビルトインコンロは、キッチンユニットに一体として組み込まれ、キッチンで調理作業する天板部分とほぼ段差なく、ガス調理面(トッププレート)が取られています。そのため、調理中の吹きこぼれなども、すぐに拭き取れます。
操作面もキッチンユニットの前面に一体化するよう設計されており、設置後はシステムキッチンと美しく一体化します。そのため、ビルイトインコンロの設置には、システムキッチンが取り付けられていることが前提となります。
ビルトインコンロでは、ガス配管などは、ビルイトインコンロ下のキッチンユニット収納部の奥で繋ぎ込みます。普段は点検できない箇所で確実にガス配管を繋ぐ必要があるため、設置工事は、専門のガス繋ぎ込みの資格を持った技術者が作業することが義務づけられています。
一方、ガステーブルは、ガス台にガステーブルを置き、露出したガスコックとホースでガス台を繋ぐだけなので、量販店などで買ってきたガス台を、ご自身で手軽に取付けできるといったメリットがあります。
ガステーブルは、設置はお手軽ですが、キッチン天板部分とガス調理面との間に隙間があるため、調理での汚れが隙間に落ちるなどして汚れやすいといった欠点があります。
コンロの機能は、ビルイトインタイプもテーブルタイプも同じで、2口か3口のガスバーナー部と、グリルが付いたものから選べます。
トッププレートも両タイプとも、ガラストップ、ガラスコートトップ、ステンレスなどの清掃しやすいトッププレートが装着されたものから選べます。
ビルトインコンロの価格帯
ビルイトインコンロは、ガス器具メーカーのノーリツ、パロマ、リンナイから販売されています。価格は、ガスバーナーの口数や、グリル、バーナー部トッププレートの材質などによって異なり、5万円~20万円です。
さらにビルイトインコンロは、専門の技術者による設置工事が必要で、その工事費は、2万円前後です。また、ビルイトインコンロの交換では、旧品の処分費が別途必要となる場合もあります。
一方ガステーブルは、本体価格が2~8万円で、工事費不要との手軽さがあります。交換したガステーブルは、地域のごみ出しルールに従って、粗大ごみ等として処分できます。
ビルトインコンロの交換目安
ガスコンロは、日々の調理でバーナー部分や、トッププレート部分に吹きこぼれが付着したり、焦げ付いたりと、汚れが発生します。
そのため、どのメーカーの物であれ、バーナー部分、五徳部分は、外して洗える構造となっており、お使いになる方のこまめな掃除が必要です。
手入れしながら使っていても、着火しにくくなったりと、機能が劣化して概ね10年前後で買替えが必要となります。お手入れが不十分だったり大家族でコンロの使用頻度が高い場合などでは、機器の寿命は短くなりがちです。
ビルトインコンロ選びの注意点
ビルトインコンロの交換においては、器具の外観、機能だけでなく、対象ガスの種類やガスバーナーの配置、器具寸法など、考慮すべきポイントがいくつかあります。
以下にこれらを解説して行きます。
ガスの種類を確認!
ビルトインコンロだけでなく、ガス給湯器などすべてのガス器具は、ご自宅に供給されているガスの種類に合わせて器具を選定する必要があります。
ガスは、大きく分けて都市ガスとプロパンガスに区別されます。都市ガスにも12Aと13Aの種別があり、プロパンガスも、各戸にボンベを置くボンベ式の場合と、集中プロパンと言って、団地単位などで配管で供給する場合があります。
ガスの種類は、月々のガスの検針票に記載されていますので、器具購入前に、ご自宅に供給されているガスの種類を確認し、ガス種に合った器具を選定してください。
天板の大きさは2種類
ビルトインコンロには、天板(トッププレート)の横幅寸法の異なる2種類:60cmと75cmがあります。
天板75cmの場合は、バーナー間隔が広くなって、加熱調理時の鍋などの取り回しがしやすい半面、コンロ天板が余分にキッチン天板上にはみ出す分だけ調理などで使う作業空間を圧迫することになります。また、価格も75cmタイプが数千円割高になります。
キッチンユニット上での作業性を考えてガスコンロ天板サイズを選びましょう。
天板の素材で価格が違う
ビルイトインガスコンロの価格には、天板(トッププレート)の材質の差が大きく影響しています。
一般的な素材は強化ガラスを用いたガラストップで、防汚性に優れ、キズにも強いといった特徴があります。他には、パールクリスタルと呼ばれる、表面にガラス層をコートした材質のものや、ホーロー、ステンレス、アルミ板の物などいろいろな物が販売されています。
ステンレス、アルミなどの金属タイプの天板は、吹きこぼれなどの汚れが焼き付きにくく、綺麗な表面を長く維持できるといった特徴がありますが、価格が高いのが難点です。
強火力コンロは右か?左か?
ビルイトインコンロのバーナーは、火力に大小を設定したものが一般的です。
コンロ脇に壁がある場合は、壁から遠い方に強火力バーナーが来るように、また、壁の制限がなければ、よく使われる側に強火力バーナーを設定します。
最近では、左右ともに強火力バーナーとした商品も増えてきています。
複数の業者を比較しよう!
ビルトインコンロは工業生産品なので、どこの販売店から買っても品質に差はありません。また、取付け工事も、ガス取扱いの資格を持った技術者が行うことが義務付けられているので、工事品質も、どの業者と契約しても同じサービスが受けられます。
そこで、賢くコンロを交換するためには、ホームセンターや家電量販店などで現物を確認して交換したい商品を選び、複数の業者からコンロ交換の見積りを取って比較検討することをおすすめします。
業者によって、機器代金の値引き率、工事費、残材処分費、保証期間が異なりますので、項目ごとに比較して、価格とサービスのバランスがいい会社を選びましょう。
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ビルトインコンロはどこで買う?
ビルイトインガスコンロの交換は、専門の技術者による交換作業が必要なことから、リフォーム工事の一種として、ホームセンター・家電量販店や、ガス会社が取り扱っています。
最近では、インターネットで機器と取付け工事を注文するサービスも出てきています。それぞれの購入先の特徴を説明します。
ホームセンター・家電量販店
ホームセンターや家電量販店では、各メーカーの最新機器が展示販売されています。そこでは、器具を見てさわって確かめられるだけでなく、器具に詳しい販売員に相談に乗ってもらうことも可能<です。
設置工事に当たっては、事前に確認するサービスを提供している店舗もあり、安心です。
現物を見られるホームセンター・家電量販店での購入は、こだわりを持って取り換える機種選定をしたいとお考えのお客様におすすめです。
ネット販売店
最近は、エアコンや水栓、洗浄便座などの取付け工事が必要な住宅設備機器も、機器と設置工事をセットとしてインターネット上で安く販売されています。
ビルイトインコンロも大手各社の最新機器がインターネット経由で工事費込みで購入可能です。
インターネット購買の魅力は安さですが、工事業者による下見調査がない場合が殆どです。
そのため、お客様ご自身で現在お使いの機器の適用ガスの種類、寸法などを調べた上で、適合品をインターネット上で選定し発注する必要があり、ガス器具、住宅設備工事に関する知識が必要となります。
ガス会社
ガス会社経由の機器交換では、他の購入ルートと比較して、最も手厚い機器選定サポートが受けられます。
ガス会社では、定期的に器具の展示即売会、商談会を開くだけでなく、定期的な器具点検で、適正な交換タイミングをアドバイスしてくれます。
機器もお客様のライフスタイルに合ったものをガスのプロの目線から選定してもらえます。プロに機器選定と交換を一式お任せしたいとお考えのお客様には、最適の交換業者です。
ビルトインコンロは自分で交換できるのか?
ガステーブルは、ガス台にガステーブル(据え置きコンロ)を置き、壁などに取り付けられているガスコックとガス台のガス取り入れ口をホースで繋ぐだけなので、量販店などで買ってきたガステーブルをご自身で手軽に取付けできます。
ガステーブルでは、ガスの供給・接続部分は、見える状態にあるため、もしものガス漏れが起きても容易に気づきやすいといった特徴があるため、誰でも設置が可能となっています。
一方、ビルトインコンロは、キッチンユニットに一体として組み込まれ、ガス配管はビルイトインコンロ下のキッチンユニット収納部の奥で繋ぎ込みます。
普段は目にし難い箇所で確実にガス配管を繋ぐ必要があるため、設置工事は専門のガス繋ぎ込みの資格を持った技術者が作業して、長期に亘ってガス漏れが起きることのないよう確実に工事することが義務づけられています。
そのため、ビルトインガスコンロは、自分で取り付けることはできません。
ビルトインコンロの交換が完了するまで
ご自宅のビルイトインコンロの交換をお考えの方々の参考となるように、工事の手順を順次解説して行きます。
商品の購入には、ホームセンター、家電量販店やガス会社、あるいはネット販売店で注文する方法があります。どの場合でも、商品購入と同時に工事も発注するのが一般的ですので、商品の購入と合わせて工事発注手続きする場合について解説していきます。
商品を選ぶ・見積りを取る
ビルイトインコンロの交換にあたって、最初にする作業が商品の選定です。
コンロは日々進化していますので、最新式のものの機能を確認し、ご自身での使い勝手を考えて、お選びになることが重要です。
そのためには、現物を見て、プロのアドバイスを受けることが近道です。そのサービスは、ホームセンター、家電量販店やガス会社に行くことで受けられます。
商品の選定に当たっては、ご自宅のガスのタイプ、トッププレート寸法、ガスバーナーの配置等も考慮する必要があります。各店舗に行く前に、ガスのタイプ、今設置されているビルトインコンロのトッププレート寸法等を測って、相談に行きましょう。
プロのアドバイスで新たに設置するコンロが決まったら、現地調査と工事見積りを依頼してください。現地調査と工事見積りは、基本は無料で対応してくれます。
なお、住宅設備に関する知識等をお持ちの方は、インターネットで情報収集し、ネット販売店に注文することも可能です。この方法では、安く機器交換できますが、現地調査のサービスが受けられない場合が一般的です。
購入先の決定と工事の依頼(予約)
複数の業者にコンロ交換工事の見積りをしてもらったら、対応状況と費用、納期、保証期間から最適の業者に発注します。
選定にあたってのチェックポイントは、商品代、設置工事費用、旧品の廃棄費用などの総支払い費用と、保証期間、工事納期、業者さんの対応状況です。
コンロ本体の保証期間はメーカー保証が基本で、販売店で独自の延長保証サービスが付与されている場合も多く、安心材料になります。
発注先が決まったら、お店を再訪問して工事日時を相談・決定しましょう。工事は概ね1時間で終わります。
取り付け工事当日の朝
コンロの交換では、コンロ下の収納棚の部分でガス配管工事などを行います。
そのため、工事当日は早めに調理作業を終えるとともに、コンロ下に収納されている鍋などを全部、工事の邪魔にならない場所に避難させておきましょう。
また、コンロ交換の間は他のガス機器も使えなくなります。給湯などが必要な作業も先に済ませるなどしておきましょう。
ビルトインコンロ交換作業
コンロ交換作業の手順を紹介します。作業は概ね1時間です。
工事前の準備
工事業者が到着すると、ガスを一旦元栓から止めます。
その上で、キッチンやキッチン前のフローリングを傷つけないように、養生シート(保護の布など)を張り、ガスコンロ下の収納棚、扉などを必要に応じて一旦外します。
古いビルトインコンロの撤去
工事場所の養生と準備が終わったら、システムキッチンの収納部奥でコンロへ繋ぎ込まれていたガス管を外し、その後古いコンロを外します。コンロは、簡単にはずれます。
コンロ周りの清掃
長年使用していたコンロを外すと、ガスコンロ天板とシステムキッチン天板との間に調理で入りこんだ汚れが固着していることがあります。
そこで、これらの掃除をして、新たな機器が取り付けられるようにします。
新しいビルトインコンロの設置
使っていたコンロが外され、コンロ設置部分の掃除が終わったら、新しいコンロを設置します。
コンロの設置は旧品を外した工程の逆の手順で、簡単に設置工事は完了します。
ガス管の設置&ガス漏れ検査
次に、新たなコンロにガス管を繋ぎ込みます。
ガス管の繋ぎ込みは、システムキッチン収納部の奥で、普段は目にしない場所になります。そこでの配管工事が終わるとガス元栓を開栓し、ガス漏れがないかチェックします。
その上で、コンロが正しく作動するか確認して設置工事は完了します。
操作の説明&後片付け
設置が終わると、工事で出たごみを片づけるとともに、一旦外したガスコンロ下の収納棚、扉などを元に戻し、養生シートを外して後片付けが終わります。
最後に、機器の操作方法の説明を受けた上で、取扱説明書、保証書を貰って工事は完了となります。
交換作業は1時間程度
ビルイトインガスコンロの交換は、準備から後片付けまで含めて1時間程度で終わります。
また、取付けが終わるとすぐ使えますので、浴室のリフォームのように数日間銭湯通いが必要といったような、普段の生活での不便等は全くありません。
但し、ガステーブルからビルトインガスコンロに交換する場合は、ガステーブル下の台から一式ビルトインコンロ用のユニットに交換する必要があり、その分の時間と費用がかかります。
代金の支払い
代金の支払いは、注文時に支払う場合と、工事完了後に口座振替えする場合、商品代金は先に支払い工事費は工事当日に工事業者さんに支払う場合など、購入したお店によって支払い方法は色々です。
購入先を決定する時に確認し、その指定方法に従って支払いしましょう。また、大手の販売店では、リース契約を結んで分割払いする方法や、クレジットでの支払いも可能です。
ビルトインコンロ交換のよくある疑問
商品の選定方法、購入先、工事の手順などご理解いただけたと思います。
ここからは、よくある質問へ順次回答して行きます。参考にしていただければ幸いです。
ガステーブル(据え置きコンロ)をビルトインコンロに交換できる?
→できます。
ガステーブル(据え置きコンロ)は、ガス台にテーブルコンロを置いただけで、キッチンの天板(調理作業する場所)と一体となっていません。
ビルイトインコンロにするには、ガステーブルをガス台ごと撤去して、新たにビルトインガスコンロが取り付けられるキッチンユニットを設置し、そこにビルトインガスコンロを取り付けます。
新たに設置するビルトインガスコンロ用キッチンユニットは、隣り合うキッチンユニット(流し部分など)の天板と高さ、奥行きが一緒になるように設定する必要があります。
キッチンユニットは高さ85cmを標準に、調理作業される方の身長に合わせて各種設定されています。奥行も各種あります。そのため、新たに設置するビルトインガスコンロのユニットは、条件に合うものをキッチンメーカーに作ってもらうことになります。
自身が購入しておいたビルトインコンロを設置依頼することは可能か?
→お店によっては可能です。
商品の購入と取付け工事の同時注文が一般的ですが、別途インターネット経由などで購入した商品の設置工事だけを対応してくれる会社もあります。
お近くのガス器具工事会社に相談されてみてはいかがでしょうか?
その場合は、器具の保証と工事の保証が別の業者になりますので、工事部分の保証も確認して工事をお願いしてください。
Siセンサーコンロとは?
→安全装置付きコンロで、すべてのコンロに安全装置が装着されています。
ガスコンロは2008年から安全装置の設置が義務づけられており、Siセンサーコンロとして「調理油過熱防止装置」、「立ち消え安全装置」、「消し忘れ消火機能」、「早切れ防止機能」の4つの安全・便利機能が標準搭載されています。
最近、ガスコンロの安全性と使い勝手は大幅に向上していますから、故障したコンロが2008年前に設置されたものでしたら、新たなSiセンサーコンロへの買い替えはおすすめです。
60㎝幅から75㎝幅のコンロへ交換できるか?
→可能です。
ビルトインガスコンロの幅60cm/75cmは、ガスバーナー部天板(トッププレート)の横幅で機器本体寸法はトッププレートに関係なく共通です。
トッププレートの横幅が広いほうは(75cm幅)、バーナー間隔が広く設定されており、加熱調理作業がしやすくなっています。
しかし、その分システムキッチン全体では、作業に使う天板部分に余計に出っ張ってきてしまいます。ご家庭のシステムキッチンの作業性で選んでください。
工事前の片づけはどの程度必要か?
→コンロ周り、コンロ下は空にしましょう。
コンロの交換では、コンロ下の収納棚の部分でガス配管工事などを行います。
そのためにコンロ下に収納されている鍋などを全部、工事の邪魔にならない場所に避難させておきましょう。コンロの周りも、交換工事の邪魔になりそうなものは退けておきましょう。
ビルトインコンロに保証期間はあるの?
→メーカー保証があります。販売店によっては延長保証を受けられる場合もあります。
ガスコンロは、製造メーカーが商品の製造に伴う不具合に関しては、一定の期間(1年間)無償で修理する保証を付けています。
販売店では、独自のサービスとして有償で保証期間を5年から10年に延長するサービスをつけているところもあり、安心です。