外構工事の1つとしてあるのが「駐車場」です。
新築で家を建てる際に欲しい設備の1つで、わざわざ家の近くで空いている駐車場を探す手間も無く、また空いていない時の心配もありません。
しかし住宅本体とは違った工事になるため、その費用が実は不透明になっているのも事実。
この設備にかけられる費用の相場というものが存在するのでしょうか。
またどんな作業が必要になるのか、その辺りにも注目して駐車場に関する情報をお伝えします。
費用相場を知るには作業内容を知ることが大切!
いきなり費用をお伝えするのもいいのですが、やはり中身を知る事も大事です。
駐車場というスペースを作るにはいくつもの手順が存在し、作業内容は決して単純なものではありません。
まずはこの作業内容を1つずつご紹介、実に10以上の工程があり駐車場1つ作るのに要らないものはありません。
もしも費用を見た時に安すぎると感じた時、これらの作業に手を抜いていることが考えられます。
つまり粗悪な駐車場が完成してしまうことにもなり、これを回避するという上でも作業内容の確認をしておかなければいけません。
どんな作業があり、どれほどの費用が生じるのか、外観だけでなく中身を理解することも大事な工程の1つです。
駐車場の土間コンクリート工事の手順
まず確認しておきたいのは「土間コンクリート」を導入する理由。
何故「土間コンクリート」にこだわるのか、値段だけでなくここにも注目できれば良い業者を探すことにも繋がります。
というのも、費用にだけ注目していては安く粗悪な工事を行う業者に行きついてしまいます。
それを踏まえた上で、最初に見ておきたいのは「工事の手順」です。
駐車場とするスペースの掘削から型の設置、コンクリートの流し込みまで10以上の工程に分けて行います。
その工程をさらに詳しくご紹介しますが、その前に「水盛り遣り方」というものをご紹介します。
水盛り遣り方
水盛り遣り方、読み方は「みずもりやりかた」と聞き慣れない、見慣れない人も多いでしょう。
しかしこの工事は外構工事の基本中の基本、ここから始まると言っても過言ではありません。
これから作るものの「位置」「大きさ」「水平」を出す作業で、かつては水を用いた「水盛り台」と呼ばれるものを使っていたことから今でもこの名で行われています。
費用は工事費用全体の1~5%、約15.000円前後になるとされています。
ではここから実際の作業の内容の紹介に移ります。
重機による鍬取り(掘削)作業
事前に計画している高さに合わせるため、地面の掘削を行います。重機を使うことも多い作業ですが、音が響く重機の使用は9~17時と決められています。
また重機以外にもシャベルを使っての作業も同時に行われます。
完成形は大きく3つの層に分かれているので、それに合わせた掘削を行うことになるでしょう。掘削は見積書にも記載されるので確認しておくといいかもしれません。
残土処分
「残土処分」とはその名の通り、「残った土の処分」です。掘削で出てきた不要な土、これらは決められた場所で処分することが法令で定められています。
地域ごとに専用の業者の元へと届ける事が必要で、場合によっては客自らの手で持って行くことも可能。
今回のような業者による工事の場合は、各業者が責任を持って届けてくれます。
土間下砕石敷き
適度なサイズに砕いた石を敷く「土間下砕石敷き」。コンクリートの下に敷くことで、地面の沈下を防ぐ役割を果たします。
加えて高さや表面を整える役割も持ちますが、敷く砕石の量はかなりの量になるとされています。
少なくても2tトラック1~2台分が必要とされ、重機また人の手で作業が行われるでしょう。
最終的には砕石だけで約10cm程度の厚みになるとされています。
転圧作業
砕石を敷き詰めた後、機械を使っての固めに入る「転圧作業」を行います。
ショベルカーのような大きなものではなく、比較的小型の専用の機械を使い地面を叩くようにして固めます。
1回の施工で約30分程度と比較的短時間でできる作業になりますが、反面雨に弱く場合によっては延期となることもあるでしょう。
事前の天気の確認も合わせて行えればスムーズに進むでしょう。
周囲枠組み
次に行うのは駐車場の形に合わせた枠組みの設置です。生コンクリートを流し込むことになり、それをせき止めるために必要な型枠で綺麗な四角形になるものもあれば曲線を描くものも存在します。
完成予定の駐車場の形に設置することになるので、この時点で既に形は決定していることになります。
型枠は最終的に外すことにもなり、処分費用も発生するのでこちらの確認もしておきましょう。
排水桝の調整
駐車場の設置には排水の為の桝の設置も欠かせません。
雨水など水が流れる場所の確保は必要不可欠で、この「排水桝」の調整もまた工事に含まれるものの1つです。
そのため「桝調整費」としても費用が発生します。
ただ排水箇所の確保という意味だけでなく、施工後の駐車場のコンクリートの高さと合わせるための調整にもなります。
また水道メーターの位置の調整も合わせて行われます。
伸縮目地の設置(ひび割れ防止)
コンクリートはどんなに丁寧に作業を行っても、ヒビを完全に防ぐことは難しいと言われています。このヒビを少しでも防ぐために行われるのが「伸縮目地の設置」です。
伸縮目地とは直接コンクリート内に設置する器具のことで、専用の商品も登場しています。
中にはレンガや植物を設置する「玉竜」と呼ばれる方法を用いることもあり、伸縮目地にいくつかの種類があることが分かります。
いずれもヒビが入るのを防ぐ為の方法で、コンクリートを長く使用するためには欠かせない作業となっています。
ワイヤーメッシュ敷き
「ワイヤーメッシュ」とはメッシュ状に作られたワイヤーのこと。これも伸縮目地同様にヒビを防ぐ物の1つですが、伸縮目地が小さなヒビを防ぐ物だとすれば、こちらは大きなヒビを防ぐ物になります。
コンクリートを流し込む前に、転圧作業で固めた地面の上に設置。ヒビ割れ防止に加え、強度を上げる目的もありコンクリートを下から支える大きな存在になります。
養生
コンクリートを流す前の下準備の最後になるのがこの「養生」。
直接工事を行う作業ではなく、これからコンクリートを流す場所以外の所にシートをかぶせるなどの汚れないための保護を行う作業になります。
コンクリートの打設
「養生」までが終わったら、ここで初めてコンクリートが登場します。「コンクリートの打設」はコンクリートの流し込み、この際あまり時間を掛けることは出来ず早く丁寧に作業することが求められます。
コンクリートは水の割合などが施工業者によって若干ことなり、場所によっては基準を設けて作成しています。
時期による流し込み時間の設定といったものがあるなど、非常に神経を使う要の作業が打設の特徴です。
コンクリート仕上げ作業
コンクリートの流し込みが終わった後は、表面の仕上げ作業を行います。コンクリートは流し込み後、完全に固まるまで少し日がかかります。表面が固まるのは約1~3日、表面の仕上げ作業はこの間に行わなければなりません。
家庭によってはすべり止めを行う必要もあり、その際もこの仕上げのタイミングで行います。
固まるまでの日数は天候にも左右されますが、だいたい1週間ほどとされています。
型枠処理
コンクリートが完全に固まったのを確認できれば、最後に型枠を外し作業は終わりです。型枠の処分にも費用が発生するので確認しておきましょう。
工事自体はこれで完了になりますが、最後に周辺の掃除を行って終わりとなります。
型枠処分という細かな部分にも費用が発生し、見積書にも記載がされるはずです。費用の記載は重要なポイントとなるので確認は必要です。
駐車場工事にかかるそのほかの費用
駐車場の工事と聞けば単純に聞こえる人もいるでしょう。
しかしその工程は非常に多く、それに合わせて工事以外の面でも費用が発生してしまいます。それらの工事以外で発生する費用についてご紹介します。
人件費
人件費は施工業者などや人数により差が出ますが、ほとんどの所で1人あたり約15,000~20,000円とされているようです。
もちろん遠方から来る場合は若干費用も高くなります。
重機回送費
施工に必要なショベルカーやミキサー車などの重機を搬入する際に必要になる「重機回送費」。
1回の工事で約20,000~50,000円が費用としてかかります。
ポンプ車使用料(必要な場合)
住宅によってはミキサー車が入れない場合なども出てきます。そんな時に登場するのがポンプ車、こちらはオプション扱いとなり必ずしも発生するものではありません。
1回の使用料は約50,000円となっています。
コンクリート車小型割増料金(必要な場合)
ポンプ車同様、住宅環境により大きな車両が入れない時に使われるものになります。
施工する場所の大きさにより費用は上下し、1㎡あたり3,000~4,000円となっています。
駐車場の土間コンクリート1㎡あたりの費用相場
上で説明してきた各種工程の詳しい費用をご紹介いたします。
・掘削:約600~1,000円
・残土処分:約500~3,000円
・砕石敷き:約1,000円
・転圧作業:約1,000円
・枠組み:約1,000円
・排水桝調整:約1,000円(1箇所)
・伸縮目地設置:約1,000~1,500円(1mあたり)
・ワイヤーメッシュ敷き:約1,000円
・養生:約3,000円(1式)
・コンクリート打設:約2,500~4,000円
・コンクリート仕上げ:約500円
※金額は税別表示
ここで紹介している費用はあくまで目安。駐車場の広さや、周辺環境、施工業者によっても費用は上下します。
一般的な1台分の駐車場、約10畳の駐車場となると費用は約150,000円。
しかし大切なのは最終的に費用ではなくその「中身」になるのです。
見積書を確認するときの注意点
工事の計画が進むと最終的に見積書を出されます。
ここにその工事で掛かる費用が書かれているのですが、上で紹介した各工程ごとの費用を1つずつ記載するところと記載しない業者がいるのです。
費用を記載しない、というのは詳しく言うと「一式」としての記載を行っているという事。つまり、各工程の費用をまとめた全ての費用だけを記載しているということです。
しかしこれでは実際の工程にどれだけの費用が掛かっているのかが分からず、さらに施工に入ると必要な工程を抜かしてしまうという危険性も出てきます。
さらに一式として安く見積もっているところはオプションに高額なものを付けようとするところもあり、なおさら注意が必要です。
細かな費用では残土処分や型枠処分、そしてそれらの量もまた各家庭で異なってくるので自ら確認しておくことを心掛けましょう。
ポイントは内訳など「中身」の確認です。
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低予算で駐車場を土間コンクリートにする方法
今回は「土間コンクリート」を一面に使用した駐車場の施工についてご紹介していますが、駐車場の施工はこれだけに限りません。
そしてそれ以外の方法を考える人の多くが低予算での駐車場施工を考えています。その予算を抑えた施工方法についてご紹介します。
相見積もりをとる
「相見積もり」とはあるものの価格を知るために、複数の施工会社から見積もりを取ることを言います。
今回は「土間コンクリートの駐車場の施工」になります。
1つの業者で判断するのではなく、いくつかの業者から見積もりをもらい比べるのです。そうすればそれぞれの業者の違いを知ることもでき、価格の安いところを選ぶこともできます。
大まかな費用の相場も知ることができるので、低予算に限らず相見積もりを取ることは大事なポイントになるでしょう。
外構工事業者に直接依頼する
新築で注文住宅を建てる際、多くの人が外構工事もハウスメーカーに頼んでいるのが現実です。
しかしハウスメーカーから行う外構工事は他の専門業者よりも割高になっていることがほとんどで、実に3~4割ほど高くなっていると言われています。
建物本体の注文と同時に相談もできるので手間が掛からず、他でできる事を知らないでそのまま契約してしまう人もいますが、自ら外構工事業者へ直接依頼すればかなり安くすることができます。
是非覚えておきましょう。
タイヤが乗る部分だけコンクリートにする
駐車場の土間コンクリート工事で大きな費用が掛かるのはやはり「生コンクリート費用」です。
大きな費用となるこの部分を削ることが出来れば、価格を抑えることができるのは当然。しかしそんなことが出来るのでしょうか。
実はできます。その方法は「タイヤの部分だけをコンクリートにする」というもの。非常に分かりやすく、かつ費用もグッと抑えることが出来ます。
まとめ
外構工事の中でも費用の大きな駐車場。
最初の費用は多少掛かってしまいますが、別で毎月支払って駐車場を借りるよりもやはり自宅に専用の場所があるほうが手間もランニングコストも掛かりません。
しかしプライベートな場所になるが故、しっかりとした施工をお願いしたいところ。そのための業者探しは最初の難関になります。
間違って手を抜く業者に頼んでしまっては後々面倒。少しの手間も考えて、相見積もりを取るなど良い業者探しを行ってください。