キッチンを含めた水廻り設備は生活で毎日使うものなので、キズや汚れなどが徐々に蓄積します。合わせて不具合も生じてきます。
コンロや水栓金具(蛇口)は、10年を超えて使い続けると不具合や故障が起き始めて交換が必要になります。
キッチンシンク(流し台)は可動部分がないため、長く使いこんでも故障することはありませんが、キズや汚れが目立つようになります。
この流し台も交換可能なことをご存知でしょうか。世間であまり認識されていない流し台の交換について紹介します。
あなたのキッチンの流し台は交換できるか?
キッチンユニットによって交換の仕方が異なりますので、最初にキッチンユニットの種類と見分け方を説明します。
キッチンユニットとはキッチンで調理作業をするための作業台一式のことで、流し台とコンロ台、調理台が独立したユニットとなっており、これらを並べて使用するのがセクショナルキッチンです。
流し台とコンロ、調理台をトッププレート(ワークトップ、天板ともいう)で一体化したものがシステムキッチンと呼ばれるキッチンユニットです。
セクショナルキッチンとシステムキッチンの見分け方は、コンロが一段低い台の上に置かれた構造で、コンロが調理台や流し台の天板と一体化していないものがセクショナルキッチンです。
コンロが天板に嵌めこまれて、コンロ周りに段差がないものがシステムキッチンです。
セクショナルキッチンの場合
セクショナルキッチンでは、流し台、コンロ台、調理台がそれぞれ独立しており、並べて設置され使用されるものなので、簡単な工事で流し台だけ交換することができます。
またセクショナルキッチンは、一定の規格(奥行55センチ、高さ80センチで台の幅は15センチの倍数[60センチ、75センチ、120センチ、、]など)で製造されていますので、交換する部材の調達も容易です。
交換工事と費用の概要は後ほど説明します。
システムキッチンの場合
システムキッチンでも、流し(シンク)部分を交換できるタイプもあります。トッププレートへのシンクの固定方法別に交換の可否と注意点を解説します。
トッププレートへのシンクの固定方法には、「ワークトップ一体型」と「オーバーカウンターシンク」、「アンダーカウンターシンク」があります。
ワークトップ一体型
ワークトップ(天板)とシンクが一体成型されたもので、ワークトップとシンクに継ぎ目がないのが見分ける目印です。
ステンレスで作られたものが多く、人造大理石のものもあります。このタイプでは、シンクはワークトップごと交換する必要があります。
システムキッチンメーカーでは、トッププレートの交換に対応していませんが、ステンレスや人造大理石の天板をオーダーメイドで製作して交換に対応しているキッチンリフォーム会社もあります。ネットなどで探してみてください。
オーバーカウンターシンク
ワークトップにシンク部分を上からはめ込んだ構造のものです。シンクの周辺が天板にかぶる構造となっているのが見分ける目印です。
この構造は、シンクとワークトップの隙間から水が入り込むことも少ないため、シンク交換も安心です。
アンダーカウンターシンク
ワークトップに開けた開口に裏からシンクを固定した構造です。
シンク部分には、ワークトップの厚み分の段があり、さらのその下にシンクが付いているのが見分ける目印です。
このタイプもシンクの交換は可能です。但し、シンクがシンク下の収納ユニットに固定された構造のものもあって、収納ユニットに固定されたものはシンクだけの交換ができません。
シンクの交換もキッチンリフォーム会社が対応し、事前にご自宅のキッチンを確認して交換の可否を診断してくれます。
多くの会社が無料で確認対応してくれますので、シンク交換をお考えのお客様は気軽にリフォーム会社に相談してみてください。
キッチンの流し台だけを交換するメリット・デメリット
あまり知られていないシンク部分の交換ですが、キッチンのプチリフォームメニューとして様々な魅力があります。シンク交換のメリット、デメリットを整理します。
メリット
メリットの一つが、リフォーム費用を抑えられる点です。
キッチンリフォームでは、キッチンユニット全体を交換するものと考えがちです。キッチンユニットを全交換すると100万円前後の費用がかかります。
ユニットのグレードによってはさらに高額になります。それに対してシンクの交換だけであれば、10万円前後で工事できます。
特にお気に入りのキッチンを設計施工されたお客様にとって、日々の使用でキッチンユニットへの愛着は高まっていることと思います。
キッチンユニットの収納部分等は傷みませんし、扉など目につく部分も時間とともに、深みを増してご家族のライフスタイルの一部を形成している場合も多いと思います。
このようにキッチンユニットに愛着をもって接しておられるお客様にとっては、傷んだ機能部材だけ交換しながらキッチンユニットを使い続けていただくのが最良と考えます。シンクの交換もそのための一手です。
またシンク交換は、キッチンユニット全体の交換より工事期間を圧縮できます。キッチンのリフォーム工事では、その期間中調理作業ができず不便です。
キッチンユニットの全交換では1週間以上の工期がかかりますが、シンク交換は1日で完了する手軽さです。
デメリット
デメリットは、メリットの裏返しです。
シンク部のキズなどと同様に、シンク下収納キャビネット部分などのキズや日焼けなども気になるお客様にとっては、シンクだけ替えてもキャビネットの傷みは目に付くままに残されることになります。
このように、シンク交換にはメリット、デメリット両方ともあります。
そこで、キッチンリフォームの選択肢の一つとして、シンク交換も取り上げて種々のリフォームプランを検討されることをお勧めします。
リフォームプランは、キッチンリフォーム会社のプランナー(キッチンスペシャリスト)が相談に乗ってくれます。
キッチンの流し台交換の費用は?
次に、リフォーム費用の面からシンクの交換について考えます。
費用は、交換する部材の費用と工事費で構成されるお客様の支払い総額です。この費用はキッチンの構造などによって異なりますので、構造別に説明します。
セクショナルキッチンの場合
セクショナルキッチンの流し台交換は、低予算で工事可能です。シンク台本体価格は2万円前後、工事費(撤去流し台の廃棄物処理費も含む)も2~3万円で行えます。
システムキッチンの場合
シンクがワークトップと一体になっていないオーバーカウンターシンク、アンダーカウンターシンク形式のものでは、ステンレスシンク、人造大理石シンクとも7~8万円ほどで、工事費(撤去流し台の廃棄物処理費も含む)は2~3万円と、10万円以内で交換が可能です。
ワークトップ一体型ですと、交換時に排水配管の繋ぎ替えと合わせて、コンロの繋ぎ替えも発生します。本体価格が15万円前後、工事費(撤去流し台の廃棄物処理費も含む)が4~5万円程度で総額20万円ほどが目安になります。
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キッチンの流し台交換の手順【セクショナルキッチン編】
キッチンシンク交換リフォームにあたっての、リフォーム工事会社選定から工事までの一連の作業と気を付けるべきポイントを簡単に紹介します。
業者に見積もりを依頼する
セクショナルキッチンでは、流し台の交換リフォームにあたり、新しいシンク台を確認してご自宅周辺でのリフォーム費用の相場を掴んだうえで、リフォーム工事会社に見積りを作ってもらうのがお勧めです。
流し台はホームセンターに現物展示されています。そこで、本体の実勢価格と概算の工事費用を確認した上で、複数のリフォーム工事会社に相見積もりをお願いしましょう。
見積りでは、想定するリフォーム費用を伝えて見積りをお願いすると、必要以上の工事まで含めたリフォームプラン提案を避けられます。
見積りに当たっては、リフォーム工事会社は無償でキッチンを確認して、水栓ほかの交換が必要ないかも見てくれます。
交換が必要な部位があれば、合わせて交換工事をした方が工事費を節約できてお得です。
キッチンの流し台交換業者の選定
相見積もりが揃ったら業者の選定です。金額だけの比較ではなく、工事内容と金額のバランスで業者を選んでください。
工事内容では保証の有無も重要です。また金額では、撤去したシンクの残材処理費用などが別途費用として支払い総額に明示されていない場合もあります。
別途費用は工事に入ってから請求されるもので、高くつくことにもなりかねませんので、見積り金額では別途請求される費用がないかの内訳の確認もしてください。
相見積もり比較ができたら、選定したリフォーム会社と工事契約を結び、工事日程を決めてください。
キッチンの流し台交換の手順
リフォーム工事の流れと注意点について簡単に説明します。交換工事は2時間ほどで完了します。
既存の流し台の撤去
最初に流し台を外します。そのために、事前に流し台の中の物は出して流し台の中は空にしておいてください。
撤去では、排水配管など流し台に接続されている配管を外せば、すぐ撤去できます。
新しい流し台の設置
流し台を外したら、その場を掃除し整えて、新しい流し台を置き、周辺の調理台、コンロ台との位置を整えます。
排水管の接続と漏水検査
流し台が据え付けられたら、排水配管を繋ぎ込んで水を流して漏れがないかチェックしたら据え付けは完了です。
仕上げ
最後に流し台と壁、隣りの台との隙間をコーキングなどして整えて、リフォームは完了です。
キッチンの流し台交換の手順【システムキッチン編】
システムキッチンのシンク交換では、セクショナルキッチンの流し台交換のように、事前に現物を確認して、工事費用の目安を付ける展示物がありません。
また、お使いのシステムキッチンでシンクが交換できるかも、リフォーム工事会社に確認して貰わないと正確にはわかりません。そのためにも、プロによるキッチンの確認と見積りは重要です。
業者に見積もりを依頼する
キッチンリフォームを行う会社には、キッチン周りのデザインに習熟した専門家(キッチンスペシャリスト)がいます。
キッチンスペシャリストに相談して、各ご家庭にベストのリフォームプランを立ててもらいましょう。
相談では、シンクのキズが気になる等のリフォームしたい理由と合わせて、想定しているリフォーム金額を伝えることが重要です。
スペシャリストは、お使いのシステムキッチンを確認して、予算枠内でできる最善のプランを見積りを付けて提示してくれます。
また相談は、複数の工事会社にお願いして内容を比較検討しましょう。プラン検討と見積りまでの作業は、どこのリフォーム会社でも無償で対応してくれます。
キッチンの流し台交換業者の選定
リフォーム会社選定のポイントは、先に述べたセクショナルキッチンでの業者選定のポイントと同様に、見積りの内訳をしっかり確認し、別途請求される費用まで含めた総支払い費用を前提に、工事内容や保証期間等とのバランスで会社を選んでください。
また工事品質を知る上で、ご近所でキッチンリフォームされた方の口コミ情報も重要です。これらも参考にしてください。
キッチンの流し台交換の手順
工事当日の注意点とともに工事手順を説明します。交換工事は半日ほどで完了します。
既存の流し台(シンク)を撤去
ワークトップ一体型とそうでない場合では、工事の内容が変わります。
ワークトップ一体型では、シンク部分と調理台部分、コンロ部分まで交換作業を行いますので、事前にその下のキャビネット内は全部外に出して、作業ができるようにしておいてください。
オーバーカウンターシンク、アンダーカウンターシンク形式のものでは、シンク部分のキャビネット内の片づけだけで大丈夫です。
システムキッチンのシンク交換では、排水配管だけでなく、水栓金具も一旦取り外します。
ワークトップ一体型のキッチンではコンロも外します。これらの器具を外して、シンク部分あるいはワークトップとの接続部分のコーキングを切り、固定ネジを外すとシンクが撤去できます。
新しい流し台(シンク)の設置
その後、新しいシンクを設置し元通りにネジ固定等して、キャビネットやワークトップとの接続部分をコーキングして設置は完了します。
排水管の接続と漏水検査
その後一旦外した水栓金具、コンロなどの器具を戻し、給水配管、排水配管他を接続し、接続部からの漏れがないかの確認をします。
仕上げ
最後に、工事個所周辺を掃除してリフォーム工事が完了します。
キッチンの流し台交換時にはキッチンを空っぽにしておく!
シンク交換リフォームでお客様が事前に行う必要のある作業です。
リフォーム工事会社が当日朝から片づけ作業することもできますが、その場合は作業時間が長くなり、キッチンが使えない時間が長くるため不便です。
またご自身でキッチンの中身を出した方が、元に戻す時も使いやすく戻せて快適です。
キッチンの流し台は交換してすぐに使えるの?
シンクを交換して接続部分をふさぐコーキング材が固まると、その後は普通に使えます。
コーキング材は1時間ほどで表面は硬化します。一旦出したキッチンキャビネットの中のものを戻し終わるころには使えるようになります。
キッチンの流し台を交換するなら水栓も新しくしよう!
キッチンユニットのシンク(流し)部分の交換は短い時間で工事完了でき、その費用もキッチンキャビネットを交換するよりお得にできることをご理解いただけましたでしょうか。
そこで一つお得な提案があります。シンクの交換と併せた水栓金具(蛇口)の交換です。
お使いの水道の水質にも因りますが、水栓金具も使い続けて10年を超えたあたりで、ハンドル等の固着や止水不良などの不具合が出始めます。
もしシンクと同様に水栓金具も老朽化しているようでしたら、シンクと水栓金具を一緒に交換するのが経済的です。
シンクの交換では、いまお使いの水栓金具は一旦外して、再度新品のシンクに付け替えますので、作業側にとっては、新品の水栓金具へ交換しても作業の手間は一緒です。
そのため、水栓金具を新品に交換しても追加の工事費用を取られることはありません。
後日、水栓金具を交換するとなると新たに作業費が発生しますので、その分だけお得になります。
キッチンユニットでは、一般的に水栓金具やコンロなどの部材交換は行われますが、シンク(流し)部分の交換ができることはあまり知られていません。
シンクも含め機能部材を順次交換していくと、キッチンユニットを長く快適な状態で使い続けることも出来ます。
リフォームプランの一案としてシンクの交換も検討いただければと思います。